医科と歯科の連携

医科と歯科の連携

医科と歯科の連携

ノエル医科歯科クリニックとして開業し、5年目を迎えました。

最近、いわゆる医科歯科連携の重要性を実感する出来事が何度かありました。

 ある日「○○さんの血圧の薬をすぐに止めてほしい。ひどい歯肉炎です。」と歯科外来から連絡がありました。Ca拮抗薬の合併症としての歯肉炎は知識としてはあるものの、長年同じ患者さんに薬を出していて、一度も口の中を見たことがないのに気がつきました。また患者さんの方も口の中の事なので、私に相談する気にもならなかった様です。歯科の介入が功を奏した症例でした。

 またあるとき、インスリン導入中の患者さんが入院し、ひどい歯周病とのことで歯科治療を受けたところ、血糖値がどんどん低下し、ついにはインスリン量を約半量まで減量するに至り、驚きを隠せませんでした。最近、歯周病と糖尿病の関係は注目されつつありますが、まさにこれを実感した出来事でした。以前より感染性心内膜炎の40%は口腔内細菌が原因であるとか、口腔ケアをしっかり行えば誤嚥性肺炎は50%減少するなど、全身疾患に対する口腔ケアの重要性も、高齢者では特に取り上げられています。

 5年間やっていると、時には歯科治療中に頻脈発作や胸痛発作を来す人もあり、すぐに医科受診となり治療を行った事もありました。また、歯科受診する人の中には抗凝固療法中の患者さんや心疾患を持った人も多く、医科歯科の連携で歯科治療がスムーズに運ぶ事も多くなりました。医科歯科両方を受診する患者さんは、歯科治療が終わっても医科受診が長期に渡る事が多く、その都度メンテナンスを続け、結果的には健康な歯を維持する事が可能となっています。

 最近の歯科はインプラント等の外科的な治療も行うため、患者さんの苦痛を和らげるための静脈麻酔を併用する等の試みも行っていますが、多くの患者さんに感謝されています。

インプラント/外科的な治療

 開業して5年、心疾患の治療のみならず医科歯科連携を基礎に、生活習慣病の治療と指導など予防医学にも着目し、地域医療に貢献できればと考える今日この頃です。


ノエルクリニック心臓血管外科歯科 医科院長 佐藤 晴瑞