愛媛経済研究会例会レポートに載りました

保母浩児先生/国際デンタルクリニック/歯科用顕微鏡

4月に行った講演の内容が、例会レポートに掲載されました。 少々読みにくいですが….是非チェックしてみてください。


「最近の歯科事情

    ”世界はどこを向いているか?”」

医療法人ノエル医科歯科クリニック 歯科院長 佐藤 哲大

略歴・1954年生まれ、愛媛県出身。愛媛県立松山東高等学校、鶴見大学歯学部卒。卒業後すぐに「セラミック修復」「インプラント治療」等を日本に紹介したことで知られる「国際デンタルクリニック」にて保母浩児先生に師事。インプラント、噛み合わせ治療などの教えを受け歯科医師の基礎を作る。「国際デンタルクリニック」を経て焼く12年ぶりに松山に帰郷、医療法人ノエル医科歯科クリニック歯科院長に就任。2016年度版「日本の歯科100選」に選定される。


今、歯科はイノベーション化が進み

いろんなことができるようになっている。機材や治療法、その新しい考え方や切り口、それから全く変わらなくて素晴らしいものもあるので、そのあたりを話したいと思っている。

まず目に関するイノベーションついて。

人間の裸眼での二点識別距離は0.2ミリが限界と言われているが、0.2ミリの識別をすることが最近非常に多くなった。そこで出てきたのがルーペで、歯科医にとっては必須のものになっているのだが、最近では顕微鏡を使い最大20倍まで見ることができるようになった。アメリカの神経を取る専門家はこのマイクロスコープという歯科用顕微鏡が義務化されており、それくらい歯科用顕微鏡での治療が今の歯科医療のレベルを満たすのにおいて必要な時代になってきている。こういう目に関するイノベーションが非常に進んで治療精度が明らかに向上したし、患者さんにもわかりやすく説明できるなど歯科治療の可視化においても役に立っている。

次に画像診断に関するイノベーション。

今までは感覚に頼っていたところも、診断ができるだけでなく治療のシミュレーションまでできるようになった。例えば歯がないところにインプラントするとき神経にぶつけないようにオペをしないといけない。一番大事なのは神経との距離で、シミュレーションをかける。世界中のインプラントメーカーがソフトウェアに入っているので、選んで長さや直径を入力し角度を補正する。今はさらにこのデーターをヨーロッパが送れば、この方向とこの長さにしか器具が入らないサージカルステントという外科用のガイドができるので、初めてインプラントをするドクターでも安全に早く手術ができるようになっている。

次に歯科のデジタル化についてお話しする。

この数年3Dプリンターの市場がすごく大きくなっており、臨床でも応用できるになってきた。3Dプリンターを歯科では歯科用CAD/CAMというのだが、コンピューターでデザインしてコンピューターで製造するというものだ。例えば銀の被せ物を作るとき以前は型を取って技工士の先生が一つ一つ作っていたが、それがCAD/CAMに変わりつつある。型取りは3Dカメラに変わっているので、今まで型を取るとき「おぇっ」となる方も快適にできるし、材料の変形がなく精度が均一だ。デジタル上でデザインし、では作ろうということになるのだが、ブロックをそのまま削って形にする削りだしと、シンタリングという積層の方法がある。削りだしは空洞をつくることはできないが強度が高いのが特徴で、ボタンを押すと器械が勝手に削ってくれる。

日本人の歯の失う原因の7割が歯周病と虫歯だ。

予防がある程度進んでいるスウェーデンでは6割が歯が割れてなくなっている。歯が割れるまで使っているということだ。本当の最先端とは、ということだが、いろんな技術が発達したがその前でどう食い止めるかが大事だと思う。スウェーデンには30年に及ぶ予防に関する研究結果が出ている。徹底的に口腔ケアを指導した患者さんはどれくらい歯が残っているのかというものだ。これは定期的なメンテナンスの重要性と、再治療の成功率の低さを示している。この定期的なメンテナンスの重要性ということで予防、予防とよく言われるのだ。

僕がよく考えるのは、

収縮期の血圧が140以上で高血圧とされているのだが、138は、139は大丈夫なのか。歯科も同じで、歯周ポケットは4ミリ以上が歯周病とされているが、3.8ミリは歯周病ではないと簡単に割り切れるのか、ボーダーラインをそもそも歯周病や虫歯、体の疾患で扱うのは非常に危険なのではないだろうかということ。シームレスな医療を展開することが最先端ではないかと考えている。

実は伝わっていない事実というのがある。

小さい虫歯できたねと詰め物をする。虫歯大きくなったねと銀歯にする。もうこれはいかんねと大きい銀歯にする。また虫歯になりましたねと神経取って被せる。もうダメだねと抜く。これをリピートレストレーションサイクルというのだが、このサイクルは基本的には一回進むと元に戻れないから、歯を失わないためにはこの道をできる限り遅く歩くことが重要だ。基本的に究極の治療というのは何も削らないのが一番いいことだと思う。持って生まれた歯が一番強い。どれだけ精度の高い治療をしても必ず境目ができるので、現状にある歯を触らないようにコントロールしていくことが一番大事な治療でないかと思う。 また、今の日本の医療制度では歯科医療の適用範囲はすごく狭く、材料のクォリティを国際基準に合わすとすぐ保険がきかなくなるのでその辺が問題ではないかと思うのと、情報がみんなに開示されていないのではないかと思う。 最後になるが、最新の治療もいいが、一番やはり虫歯と歯周病の7割を3割くらいに減らしていきたいという目標をもって臨床に日々取り組んでいきたい。


ノエルクリニック心臓血管外科 歯科  歯科院長 佐藤 哲大